人に質の高いものを生み出してほしいと思ったら、いいところを探し出して、「これ、最高ですね」「ここが、僕は大好きです」と伝えたほうがいいに決まっている。
--内田樹「そのうちなんとかなるだろう」P186
人に質の高いものを生み出してほしいと思ったら、いいところを探し出して、「これ、最高ですね」「ここが、僕は大好きです」と伝えたほうがいいに決まっている。
--内田樹「そのうちなんとかなるだろう」P186
もし(友達になる)コツがあるとすればそれは、相手の一番いいところを探して、そこにフォーカスしてお付き合いするということじゃないかと思います。
どんな人でもいろいろな面がある。いいところもあるし嫌なところもある。面白いところもあるし、つまらないところもある。ユニークなところもあるし、凡庸なところもある。あって当然です。
僕はその人の一番「いいところ」、一番「面白いところ」、一番「ユニークなところ」だけを見るようにしています。
--内田樹「そのうちなんとかなるだろう」P185
あらゆる仕事には、「誰の分担でもないけれど、誰かがしなければいけない仕事」というものが必ず発生します。誰の分担でもないのだから、やらずに済ますことはできます。でも、誰もそれを引き受けないと、いずれ取り返しのつかないことになる。そういう場合は、「これは本当は誰がやるべき仕事なんだ」ということについて厳密な議論をするよりは、「あ、俺がやっときます」と言って、さっさと済ませてしまえば、何も面倒なことは起こらない。
--内田樹「そのうちなんとかなるだろう」P154
どんなとき、どんな場所でも、僕たち一人ひとりには、自分にできること、自分にしかできないことがあります。とりあえず、その場にいる他の誰もできないことが、自分にだけはできるということがある。
でも、普通はそれが何だかわからない。
修行を積むと、「今、ここでだと、私だけができること、他ならぬ私が最もそれに適した仕事がある」ということがわかるようになる。
その時に、ふっとそれが「自分が前からずっとしたいと願っていたこと」のように思えてくる。ここが武運の勘所です。
--内田樹「そのうちなんとかなるだろう」P96
いろいろ言いたいことはあっただろうけど、そういう時にかさにかかって子供に恥をかかせるようなことはしなかった。僕はそのときに家出に失敗したことからよりも、人生最初の「大勝負」に失敗したぼんくらな息子を両親が黙って受け入れてくれたことから、人生についてより多くを学んだように思います。
たとえ家族であっても、どれほど親しい間であっても、相手にどれほど非があっても、それでも「屈辱を与える」ことはしてはいけない。これは父母から学んだ最も大切な教訓だったと思います。
--内田樹「そのうちなんとかなるだろう」P41
集団の中で自分のキャラを固定化して、それ以外のキャラにはなれないという個人における均質化圧は、ある意味で、集団全員を均質化する圧よりも病的で破壊的なんじゃないかと思う。そのことを今の日本人は「個性的」というふうに言っている。でも、それは「個性」なんかじゃなくて、与えられたキャラに過ぎないんだ。
--内田樹「光嶋裕介×内田樹が社会の集団思考を斬る」
人生にパーフェクトな正解なんてものはありません。僕がよく言うように、「人生は0か100か」ではなく、67点とか49点とか81点とかの結論を引き受けて、「それが人生さ!」と青空を見上げて生きていくものです。
--鴻上尚史「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」
キリスト教だってイスラム教だって世界平和を願っておる。戦争したり、差別しろとは言ってない。真理はひとつだ。しかし、仏教の良いところは『無我』、『我がない』ということだ。自分がないと言うことではない、自分よりも相手の気持ちを思うことだ。自分がお腹空いていて、困っている人がいたら食べさせる。
--佐々井秀嶺「佐々井秀嶺、インドに笑う」P238
世界の在外米軍が減ったので、在日米軍約5万は、在外米軍の3分の1を占めている。さらに2010年に発表された、アメリカの超党派諮問機関である「財政責任・改革国民委員会」の共同委員長草案は、歳出削減のためにさらに在外米軍を3分の2に減らし、合わせて在韓米軍も大幅に縮小するよう提言した。もしこれが実現して、かつ在日米軍が減らないとしたら、在日米軍は世界の在外米軍の約半分を占めることになる。
そしてそれは、世界の在外米軍の約3割が沖縄にいることを意味する。こんなことは、どんな国際情勢論や安全保障上の理由を持ち出しても、正当化できる話ではない。
--小熊英二「日本という国」P177
経費削減のために、政府が郵便局の民営化をきめたりして、「構造改革」の名のもとに、公務員をどんどん減らしている。2001年からの5年間で、すでに国家公務員の定員は5%減らされ、2010年度までにさらに5%以上減らすというのが政府の方針になっている。
それなのに、自衛隊はほとんど減っていない。2004年の時点で、国家公務員61万人のうち、41%にあたる約25万人が自衛隊員だ。郵便局民営化するのには熱心だった日本の首相や政治家が、自衛隊を減らすことに無関心なのは不思議なことだ。
--小熊英二「日本という国」P172