経済学者ケネス・E・ボールディングはかつて「指数関数的な成長が、有限な世界において永遠に続くと信じているのは、正気を失っている人か、経済学者か、どちらかだ」と述べたとされる。それから半世紀以上がたち、環境危機がこれほど深刻化しても、まだ私たちはひたすら経済成長を追い求め、地球を破壊している。経済学者的な思考は、それほど深く、日常に根づいてしまっているのだ。私たちは「正気を失っている」のかもしれない。--斎藤幸平「人新世の資本論」P38