もし(友達になる)コツがあるとすればそれは、相手の一番いいところを探して、そこにフォーカスしてお付き合いするということじゃないかと思います。
どんな人でもいろいろな面がある。いいところもあるし嫌なところもある。面白いところもあるし、つまらないところもある。ユニークなところもあるし、凡庸なところもある。あって当然です。
僕はその人の一番「いいところ」、一番「面白いところ」、一番「ユニークなところ」だけを見るようにしています。
--内田樹「そのうちなんとかなるだろう」P185
もし(友達になる)コツがあるとすればそれは、相手の一番いいところを探して、そこにフォーカスしてお付き合いするということじゃないかと思います。
どんな人でもいろいろな面がある。いいところもあるし嫌なところもある。面白いところもあるし、つまらないところもある。ユニークなところもあるし、凡庸なところもある。あって当然です。
僕はその人の一番「いいところ」、一番「面白いところ」、一番「ユニークなところ」だけを見るようにしています。
--内田樹「そのうちなんとかなるだろう」P185
集団の中で自分のキャラを固定化して、それ以外のキャラにはなれないという個人における均質化圧は、ある意味で、集団全員を均質化する圧よりも病的で破壊的なんじゃないかと思う。そのことを今の日本人は「個性的」というふうに言っている。でも、それは「個性」なんかじゃなくて、与えられたキャラに過ぎないんだ。
--内田樹「光嶋裕介×内田樹が社会の集団思考を斬る」
世界の在外米軍が減ったので、在日米軍約5万は、在外米軍の3分の1を占めている。さらに2010年に発表された、アメリカの超党派諮問機関である「財政責任・改革国民委員会」の共同委員長草案は、歳出削減のためにさらに在外米軍を3分の2に減らし、合わせて在韓米軍も大幅に縮小するよう提言した。もしこれが実現して、かつ在日米軍が減らないとしたら、在日米軍は世界の在外米軍の約半分を占めることになる。
そしてそれは、世界の在外米軍の約3割が沖縄にいることを意味する。こんなことは、どんな国際情勢論や安全保障上の理由を持ち出しても、正当化できる話ではない。
--小熊英二「日本という国」P177
経費削減のために、政府が郵便局の民営化をきめたりして、「構造改革」の名のもとに、公務員をどんどん減らしている。2001年からの5年間で、すでに国家公務員の定員は5%減らされ、2010年度までにさらに5%以上減らすというのが政府の方針になっている。
それなのに、自衛隊はほとんど減っていない。2004年の時点で、国家公務員61万人のうち、41%にあたる約25万人が自衛隊員だ。郵便局民営化するのには熱心だった日本の首相や政治家が、自衛隊を減らすことに無関心なのは不思議なことだ。
--小熊英二「日本という国」P172
「悪かったのは、戦争を押しすすめた日本の軍国主義者だ。日本の民衆は彼らによって戦争にかり出され、たくさんの人が死んだ。だから、中国の民衆と同様に、日本の民衆も被害者だ。そうした軍国主義者は東京裁判でA級戦犯としてもう裁かれたのだから、今の日本の民衆とはなかよくしなければいけない。だから、日本の民衆から賠償をとりたてて、苦しませたりするのはよくない」。こういう建て前をとって、中国共産党は民衆の不満をおさえようとしたわけだ。
ところが1978年に、日本の靖国神社がA級戦犯で死刑になった人々や獄死した人びとなど14名、つまり中国共産党がいうところの「軍国主義者」を合祀してしまった。その靖国神社に日本の首相が参拝に行ったりすると、「悪かったのは日本の軍国主義者で、日本の民衆は被害者だ」という中国共産党の建て前がぶちこわしになる。当然ながら、中国の民主は不満を持つ。中国政府としては、国内の民衆の不満をおさえるためにも、日本の首相や政治家の靖国参拝に抗議せざるをえない。
--小熊英二「日本という国」P157
1956年に、サンフランシスコ講和条約に調印しなかったソ連と、日本政府は日ソ共同宣言を出して、国交を回復させた。けれどそのさい、日本側は賠償請求権を放棄させられた。いわば日本は、この件ではサンフランシスコ講和条約アジア諸国が強要されたことを、自国があじわう結果になったわけだ。
その後元シベリア抑留者たちの一部は、強制労働への補償と謝罪を要求してきた。しかし冷戦時代には、ソ連と日本は対立関係にあったから、そうした要求は非現実的だとみなされてきた。しかし日本政府は、冷戦が終わった1991年になって国際情勢が変わると、こういう表明を出した。それは1956年に放棄したのは国家間の賠償請求権であって、「国民個人からの請求権まで放棄したのではない」というものだった。
つまり日本政府は、アジアの民間からの補償要求には「国家間では解決済み」といいながら、自国民が被害を被ったシベリア抑留では、「国民個人の請求権は放棄していない」と表明したわけだ。こんな態度は、ご都合主義といわれてもやむをえない。アジア各地から補償要求をしている人たちからは、「それなら、日本政府の言い分どおり国家間では賠償問題は解決済みだとしても、われわれ個人の補償請求権は認めるべきだ」といわれてもしかたがないといえる。
小熊英二「日本という国」P154
吉田首相が、アメリカの軍備増強要求を値切るときにつかった口実は、二つあった。一つは、国内の平和運動や野党の反対が強いこと。もう一つは、憲法第九条の存在だった。
アメリカ側にすれば、日本の軍事力を強くして利用はしたいけれど、それを無理強いして日本の保守政権が倒れ、社会党政権になったりしたら元も子もない。吉田はそこを計算して、社会党左派の政治家に、再軍備反対運動を起こしてくれと内密に頼んだこともあったという。それを口実に、アメリカの要求を値切ろうとしたわけだ。
もう一つの憲法第九条については吉田はこう述べたといわれる。
再軍備などというものは当面とうていできもせず、また現在国民はやる気もない。当分アメリカに(日本の防衛を)やらせておけ。憲法で軍備を禁じているのは誠に天与の幸(さいわい)で、アメリカから文句が出れば憲法がちゃんとした理由になる。その憲法改正しようと考える政治家は馬鹿野郎だ。
--小熊英二「日本という国」P138
アメリカにとって日本は、経済的にも利用できる国だった。中国と北朝鮮が社会主義陣営に組み入れられてしまい、台湾は小さすぎ、韓国は朝鮮戦争の戦場だとすれば、東アジアで西側陣営の一員となって働いてくれる工業国を育成するとすれば日本しかない。
しかし、講和条約で多額の賠償金を各国から求められたら、日本の経済的再建は大きく遅れるだろう。またアメリカが日本に再軍備を要請したところ、まだ戦争の経済的痛手から立ち直っていなかった日本政府側は、財政難の問題があるとうったえた。そういった状勢を考えたアメリカは、各国に賠償請求権を放棄してもらうことを、講話条約第十四条に盛り込むこととしたわけだ。
--小熊英二「日本という国」P122
これからマスメディアの凋落に伴って、ネットから情報をとることが標準的なかたちになるでしょうけれど、そうなると個人のネットリテラシーの差が、そのまま知的力量の差になって露呈してしまう。その知的格差はいずれ社会的な格差に転換されるでしょう。
--内田樹「「意地悪」化する日本」P195
ナチス・ドイツの学校用教科書は、例外なく貧弱な語彙と平易な構文によって作られていたと『永遠のファシズム』に書いてあります。だから私たちは、ファシストが貧弱な語彙と平板な言葉を使っているのを真似てはいけません。紋切り型ではない、罵倒型ではない、豊かで詩的な、チャーミングな言葉を使わなくちゃいけないんです。
--福島みずほ「「意地悪」化する日本」P152