米国から見れば、中国の台頭、その政治的プレゼンスの巨大化は抑えがたいものとなりつつあり、これを単独で抑制するためのコスト負担にはもう耐えられない。また、中国と日本とが接近・協同して、米国中心の世界秩序への挑戦を企てることこそが最悪の構図であり避けられるべきである。したがって、日中の関係に一定の楔を打ち込んでおくこと、その関係が決して親密にならないよう火種を残しておくことが、重要な戦略であり、軍産複合体の利益にもかなう。そして、同様の構図は、日韓・日露間の関係に対しても多かれ少なかれあてはまる。
--白井聡「永続敗戦論 戦後日本の核心」P136