ここでまず問題になるのは、日本政府はその領土的主張の根拠をサンフランシスコ平和(講和)条約に求めているわけであるが、中華人民共和国はサンフランシスコ講和条約に代表派遣を拒否されている、という事実である。そのため、中国側は、サンフランシスコ平和条約そのものの有効性を認めていない。ゆえに、中国側からすれば、日中間の領土的原則の根本はポツダム宣言にこそ求められる、という立場が設定されることとなる。
--白井聡「永続敗戦論 戦後日本の核心」P65