一時期流行した「自己実現」論とか、「自分探し」なども、生きることの満足をもっぱら自己の変革のみに見出すという点で、社会をかえて満足を高めることを忘れさせるものだったように思います。人生は気の持ちようとか、個人のがんばり次第と、個人の内側ばかりに目を向けさせて、社会の仕組みには目を向けさせない。これはこれである種のイデオロギー攻撃ですね。
--石川康宏「若者よマルクスを読もうⅡ」P60