一人ひとりの信者は、自分ひとりのこととして告白するわけですが、みんなの告白を統計的に分析すると、その村や都市や国全体で、何が起こっているかがよくわかってきます。君主の評判はいいのか、領主はいい政治をしているのか。つまり耳聴告白を集大成すれば、高度なスパイ網として機能するのです。ローマ教会は、この制度を活用します。豊富な情報を手に入れることで、ローマ教会の政治力は飛躍的に向上しました。
--出口治明「全世界史(上)」P336