キスワとは、イスラムの聖地マッカのカアバ神殿にかけられる布です。現在では黒い巨大な布がかかっています。昔はラクダの隊列で交易する商人たちがお祭りでマッカに集まり、歌を布に書いてカアバ神殿に吊るして優劣を競い合っていました。それが、やがて歳月が流れると、このカアバ神殿にかける布、キスワを寄贈できる人がイスラムの盟主であるという伝統が生まれます。これを決定的にしたのがバイバルスでした。
今日、カーバ神殿のキスワを誰が奉じているかといえば、サウジアラビアの国王です。
--出口治明「全世界史(上)」P373