2008年に内閣府に設置された「官民人材交流センター」。国家公務員の早期退職募集制度で、再就職斡旋を行う政府事業だ。規制緩和で民間に開放されたこの事業がどれほど魅力的かは、その報酬を見れば一目瞭然だろう。退職した公務員は1人転職させることで、仲介業者は転職先企業から年収の約3割を報酬として手にできる。一般公務員で毎年約1万人が退職するとして、年収1000万なら300億円が転がり込む。
この独占契約を勝ち取ったのが、他でもない産業競争力会議の中心的メンバーである竹中平蔵氏が会長を務める大手人材派遣会社「パソナ」であることは、もちろん神のみぞ知る偶然だろう。
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竹中氏はまた、第4回産業競争力会議の席で、企業が従業員をクビにした際に再就職を斡旋するための助成金を一気に増やすべきだと主張、そして政府はそのとおり、労働移動支援金予算を2億から300億円に拡大し、社員の再就職支援を行う企業に出す「労働移動支援助成金」の上限を、40万円から60万円に引き上げた。さらに、転職が決定した際にと言う支払い条件も緩められ、再就職支援企業に転職斡旋を依頼するだけで、企業に10万円が支払われることになった。
--堤未果「沈みゆく大国アメリカ<逃げ切れ!日本の医療>」P57