私は土下座をする人が苦手です。「土下座をする人間は土下座をさせる人間だ」という言葉がありますが、これは当たっていると思います。土下座は人間を卑屈にさせます。
--福島みずほ「「意地悪」化する日本」P65
私は土下座をする人が苦手です。「土下座をする人間は土下座をさせる人間だ」という言葉がありますが、これは当たっていると思います。土下座は人間を卑屈にさせます。
--福島みずほ「「意地悪」化する日本」P65
ほんとうに貧しくて、とうてい生きてゆけない状況に追い詰められたら、必ず人間は助け合う。周りの人間を蹴落としてゆこうなんていうことは、自分が蹴落とされたら飢え死にするという状況では出てこないんです。ある程度豊かな状況において初めて人間は残酷になれる。人間同士で肌寄せ合ってゆかなければ生き延びてゆけないときは相互扶助的になる。
--内田樹「「意地悪」化する日本」P60
十六世紀に宇宙の無限性を唱えて、コペルニクスの地動説を擁護したジョルダーノ・ブルーノがドミニコ会修道士(キリスト教徒)であったように、「異端」とはアウトサイダーのことでは決してない。ある共同体や組織の「周縁」を住処にして、そこから「異言」を唱える「奇人」や「変人」である。
生物多様性が、地球に棲むすべての生物のための環境維持に欠かせないように、文化の多様性をもたらす「異端」の存在も、共同体を活性化するのに役立つ。
--越川芳明 「私小説」を逸脱する「私小説」 島田雅彦『君が異端だった頃』より
中国の思想界は、本音は法家、建前は儒家、知識人は道家という棲み分けが完成しました。これが結果的に中国を安定させます。国は有能な官僚が治め、庶民は儒教で親を敬い子供を大切にして、一所懸命働き、みんなで仲良く国を守る。知識人は自由に生きてくださいというガス抜きもあるので、うまく収まるわけです。このバランスは今日まで生きているように思います。
--出口治明「全世界史(上)」P112
アッカド王サルゴン
メソポタミアで初の統一国家、アッカド帝国の出現。(BC2334年)
サルゴンは世界で初めて動物園をつくった。なぜ動物園を作ったのか。
言語が異なる民族を征服して、統一国家をつくったということは、すべての人間を支配したことを意味します。すべての人間を支配すると、次はすべての生き物を支配しようと思い立ち、動物園をつくる。さらに進むと過去もすべて支配したいと思い、文物の収拾へと至ります。アッシリア王は大図書館をつくり、中国・清の康熙帝は『康煕字典』という空前の大漢字辞典をつくる。ナポレオンのルーブルや大英帝国の大英博物館も、すべて同様の意志から生まれています。サルゴンは、まさにその先鞭をつけたのです。
--出口治明「全世界史(上)」P37
自由競争から生まれるのは、「生き方の違い」ではなく、「同じ生
格差だけがあって、価値観が同一の社会(例えば、全員が「金が欲
--内田樹「子どもは判ってくれない」P240
「誰にも迷惑かけていないんだから、ほっといてくれよ」と言って
彼らは「人に迷惑をかけない」というのが「社会人として最低のラ
なるほど、それもいいかもしれない。でも、自分自身に「社会人と
--内田樹「子どもは判ってくれない」P107
イスパニア人のカスチリア王国も、ポルトガル王国も、右半分を占めた大陸のわずかな半島先端にしか過ぎなかった。両国を合わせても日本とほぼ同じ大きさだった。イスパニアとポルトガルが、描かれたすべての国々や人を二分して征服し支配できるはずがなかった。秀吉の明国征伐もそうだが、すべての悲惨の種子は誇大な欲望と妄想から発せられる。
--飯嶋和一「星夜航行(下巻)」P396