危機が深刻化すればするほど、人々の目的は生き延びることだけになり、立ち止まる余裕を失ってしまう。そうなってからでは遅いのだ。強いリーダーが市民の自由を極度に制限しても、それで命が救われるならと、その体制を受け入れることになるだろう。その先に待っているのは、自国民優先のナショナリズムと非民主主義的な強権体制、気候毛沢東主義である。
--斎藤幸平「人新世の資本論」P228