人間って、ある程度の期間が過ぎると、良い仕組みであっても、その仕組みに飽き飽きして、壊したくなってくる。そうした破壊願望が出て来ることは人性の自然であって、これについてとやかく言っても仕方ない。でも、人間て「そういうものだ」ということはいつも念頭に置いていたほうがいい。そうやって歴史上何度も繰り返された愚行を現代日本人もまた繰り返そうとしている。そのことについての「病識」を持つ必要があると思います。
--内田樹「世界「最終」戦争論」P229