真に批評的なことばは対話的なものです。そこには「これから何を言おうとしているのかをまだ知らないで話し始める」人と、「これから何を聴き取ることになるのかまだわからないけれど、それが『私がまだ知らない私についての知』であることを直感している」人の二人が立ち会うことが必要です。その条件が満たされたときにのみ、批評は生成的なものになる。
--内田樹「態度が悪くてすみません ――内なる「他者」との出会い」まえがき