「自衛のために」という大義名分は「不戦条約」に対する一種の「リセットボタン」である。堂々たる宣言を掲げても、その一隅に小さな文字で「この宣言は次のような場合には破ってもよい」と書いてあると、私たちは「次のような場合」を必死になって探し始めるのである。人間というのはそういう度し難い生き物なのである。そのことを素直に認めよう。
--内田樹「街場の現代思想」P166