戦後の欧米の福祉国家とは、「過激化する労働運動」という資本にとっての危機を食い止め、懐柔するための手段であった。つまり、福祉国家は労働者中心の社会が組織されていくことを防ぐための方策でした。だからこそ、資本と妥協することにいつも前向きな巨大労組が福祉国家に欠かせない要素として存在していたのです。
--マイケル・ハート「未来への大分岐」P23
戦後の欧米の福祉国家とは、「過激化する労働運動」という資本にとっての危機を食い止め、懐柔するための手段であった。つまり、福祉国家は労働者中心の社会が組織されていくことを防ぐための方策でした。だからこそ、資本と妥協することにいつも前向きな巨大労組が福祉国家に欠かせない要素として存在していたのです。
--マイケル・ハート「未来への大分岐」P23
男と女って平均寿命が十歳近く違うじゃないですか。何でかって言うと、女の人は自分で晩御飯を作るからだって。買い物行って、「今日何食べたいかしら」で自分の腹に訊いて、「私今日これ食べたい」て言うものを買って作って、子供と旦那はそれを食べる。自分が食べたい物を、食べたい調理法で、食べたい味付けで、食べたい量を食べるということを30年、40年やっていると10年間の差が出ると。
--内田樹「14歳の子を持つ親たちへ」P123
M・マクルーハンの『グーテンベルクの銀河系』を読むと、国と国との大戦争が起こって本格的な大量殺戮が起こるようになったのが17世紀くらい。それは地図というものが作られだして、みんなが地図を持つようになった時期と重なるっていうんです。
その前は、王様が丘の上に立ったら見渡す限りが自分の土地で、いろんな農作物があって、「ああ、すごい」と思えた。ところがそれを地図で見ると、「なんだ、うちの王様の土地はこれだけか」とか、「グレートブリテンの中のたったこれだけか」となってしまう。「隣の国の領地はこんなにある」って、どんどんヴァーチャルになっていく。実際に地図を見たときに喚起される攻撃性って、普段の百倍ぐらいに膨らんでいるかもしれない。
--名越康文「14歳の子を持つ親たちへ」P110
十歳から十一、二歳。つまり本格的に異性と付き合う勇気は全然持てなくて、一時的に同性愛的な感じになって、すごく深い友情を同性同士でむつみ合う時期があるじゃないですか。これ、チャム世代って言うんです。チャムっていうのは子犬同士がじゃれあうこと言うんですけど。
思春期心理学的な考え方では、この時期を十全に経ないと次のほんとの思春期を迎えられないとも言われています。だからほんとに大事なのは思春期じゃなくて前思春期じゃないかと考える人もいるぐらいなんです。
--名越康文「14歳の子を持つ親たちへ」 P89
子どもって、年長者でかつ社会的にある程度承認されている人から承認されるっていう形でしか自己掌握できないから。大人による承認が不可欠なんですよ、子どもには。自分が尊敬している人からきちんと評価されると、すごく大きな自信になる。
--内田樹「14歳の子を持つ親たちへ」P70