職業や仕事のやり方に、それ自体価値や意味があるわけではない。「全生」する一生の部分として、ふさわしければ行ない、そうでなければやめる。生命や身体のありようにふさわしくない仕事を中心にして生きることは、生命の本来の力を発揮することから離れることになるだろう。個性―性や身体はその一部だ―にあった仕事や生活の仕方を選び、お互いの特性を発揮しながら生きていくことが必要だ。ただ地位や俸給が同じだから「平等」だというのは滑稽だ。
永沢哲「野生の哲学」