あえて乱暴な言い方をするが、日本人は中国人を恐れ、中国人は日本人を恐れているのである。
両者を取り持つべきマスメディアは、むしろその恐怖を煽って、テレビの視聴率を稼ごうとしたり、新聞・雑誌や単行本の売り上げを伸ばそうとしてきたりしてきた。また、新時代を切り開くメディアであるはずのインターネットも、ユーザーの鬱憤や屈折の掃き溜めと化して、両者の怒りの火に油をそそぐほうにいそがしい。
野村進「島国チャイニーズ」