マイケルの思想はどの作品にも明確に示されているが、たとえばグラミー賞のレジェンド・アウォードの受賞演説で、直接、言葉で表現されている。その中で彼は、次のように述べた。
──私の考えでは、今日の世界が抱える問題は、都心部の犯罪から大規模な戦争やテロ、満員の刑務所に至るまで、子供から子供時代が奪われてきた、という事実の結果に他なりません。子供の心に宿る魔法、不可思議、神秘、純真こそが、創造性の種子であり、それが世界を癒すのです。私は本当にそう信じます。私たちが子供から学ぶべきことは、子供っぽさではありません。子供とともにいることで、私たちはより深い生命の智慧へと導かれ、それは常にここにあり、生きられることのみを求めるのです。ここに、私たち自身の心の中にあり、気づかれるべく待機している、解決策へと至る道があります。
--安冨 歩「マイケル・ジャクソンの思想」