どれほど立派であろうが、自発的でなければ価値がない。自発性と自律の上に生い茂る協同にこそ人間の可能性はある。
永沢哲「野生の哲学」
生き生きと生くるものに苦多く、楽続けば眠る也、ただ生き生きと生くるもの、苦を苦とせずそこに潜む快を身に付ける也
野口晴哉
人の生くるや 自力に非ずして他力 他力に非ずして自力なれば也されど 人 自力を信ずべし
効率的であるほど服従的である
--フーコー
偽善者とは自分に課す基準と他人に課す基準が違う人のことだ ノーム・チョムスキー「知の逆転」
給料が上がるということは結局、人手不足になるほど仕事があるのかという、需給バランスの問題であるといえます。企業が10人の人材を募集して100人が応募してくるようでは、給料は増える状況ではありません。10人募集しても8人しか応募してこないような状況で、初めて人材の希少価値は上がり、給料が増えていきます。
荻原博子「アベノミクスで家計はどうなる? 今だから考えたい生活防衛術」
知識人のピットフォールは「自分が同意することは『正しいこと』でなければならない」という思い込みにある。
現実が整合的でない以上、それについて語る理説が整合的である必要はない。
内田樹「セックスワークについて」
子供は、うまくいかないことがあると、全世界が自分を拒んでいるような気になるでしょう。確かに、全世界は基本的にうまくいってない。まちがったまま運営されている。でも、そこで怒るのか滅入るのか。それとも笑うのかで、生き方は大きくちがってくると思うんです。
町田康「人生を歩け!」
あえて乱暴な言い方をするが、日本人は中国人を恐れ、中国人は日本人を恐れているのである。
両者を取り持つべきマスメディアは、むしろその恐怖を煽って、テレビの視聴率を稼ごうとしたり、新聞・雑誌や単行本の売り上げを伸ばそうとしてきたりしてきた。また、新時代を切り開くメディアであるはずのインターネットも、ユーザーの鬱憤や屈折の掃き溜めと化して、両者の怒りの火に油をそそぐほうにいそがしい。
野村進「島国チャイニーズ」
もともとお金はモノとモノの交換を滑らかにするために発明されました。それが育ちすぎて、召使いのくせに主人顔して、モノを押しのけて自分たち同士を交換するようになった
人間はお金をコントロールできなくなってしまった。なぜならお金は欲望という人間の最も弱い部分につけ込むからです。
--池澤夏樹 「氷山の南」より