疫学の統計にまつわる面白いエピソードに、「フィンランド症候群」とか「不良長寿」と呼ばれる有名なエピソードがあります。フィンランド保健局が、40歳から45歳の上級管理職600人を選び出し、健康管理を行うよう細かく指示しました。一方、同職種の別の600人には、ただ定期的に健康調査票に記入するようにしました。15年後の結果を見ると、後者の健康管理されていないグループの方が、心臓血管系の病気、高血圧、ガン、各種の死亡、自殺者の数が少なかったと言うのです。
でも、好き勝手させておくほうが長生きするなんて、当たり前でしょう。毎日運動しろと医者に言われたら、雨や雪が降ったりしてできないときとか、サボったときにストレスを感じてしまうじゃないですか。きちんとしようとするほど、生きるのが大変になると思います。
--養老孟司「文系の壁」P25